「うさぎ」
本の題名です。
知人からこの本を借り読んでいます。
この本、かなりレアで普通に手に入りません。
現代に警鐘する本です。
作者は小沢健二。
知っている方も多いと思います。
オザケン、フリッパーズギター、今夜はブギーバック、などなど…
あの小沢健二です。
父方は文化人、母方は経済人の著名人が多くいわゆる良家の出。
世界的指揮者の小澤征爾の甥っ子。
「うさぎ」を読んでいても、感性が只者ではないのが伝わります。
さて、内容なのですが読んだ方が早い。
のですが、早々手に入らない本なので要約と気になる所だけ、長いですが。
作者小沢健二が、「何かがおかしい?」と感じる今の社会の流れ、あるいは違和感を、さまざまな研究者の論文や報告書、本、あるいは氏が実際に現地での生活の中で感じたことなどをもとに、物語は進みます。「うさぎ」という主人公と仲間たちがいろいろなことを話し合いながら紐解いていくという内容になっています。
誰がどうやって世界の動向を動かしているのか?
先進国=豊かな国、なのか?
欲しい物が手に入る=幸せ、なのか?
立ち止まって考えてみたくなる読み物です。
何らかの宗教の布教や偏った思想、政府への批判などを目的にしたものではありません。あくまで、今の世界の真実を伝えるひとつの方法として、この物語は書かれています。
本文より↓=================
「権力ってなんだろう?他人を、自分の思うままにする力だ。他人に、自分の言う事を聞かせる力だ。」
「他人を、自分が行きたい方向に連れて行く力、と言ってもいい。ちょうど、車の運転席に座って、ハンドルを握っている人のように。」
「権力者が力を握るっていうのは、大勢の人が乗っている車のハンドルを握る事に似ている。権力者、つまり運転手は、大勢の人を、自分が行きたい方向に連れて行きたい。」
「車の後部座席には、大勢の人が乗って、騒いでいる。『この道であってるの?』とか、『これ、方向違うんじゃないの?』とか、運転に口を出す。運転手は自分が思うままに、思う通りに運転したいのに、車に乗っている『その他大勢』が、ああだこうだと口を出す。」
「後部座席の『その他大勢』を黙らせるにはどうするか?黙らせる方法の一つは、暴力で脅して『うるせえ!黙れ!ぶん殴るぞ!』という方法。ところが暴力で脅すと、車内に緊張感が生まれてしまう。もしかしたら後部座席の『その他大勢』がこそこそ相談して、突然運転手に襲いかかるかも知れない。運転手にとって、それはまずい。」
「黙らせるもう一つの方法は、簡単だ。車内のTVをつける。コメディー映画か、スポーツの試合でも流す。すると『その他大勢』は、映画鑑賞やスポーツ観戦に熱中して、運転に口を出すのを止める。運転手は落ち着いて運転できる。」
「僕らがうるさいと、うちの親父はラジオをつける」と山あらし。「すると僕らはラジオに合わせて歌を歌ったりして、親父は安心して運転できるってわけだ。」
「そう、それと同じ」ときらら。「『その他大勢』を、無理に黙らせるのではなくて、他のことに熱中させるんだ。」
「権力を握っている人は、大勢の人を自分の思い通りにしたい。自分の思う方向に連れて行きたい。それなのに、『後部座席の皆さん、どちらに行きたいですか?』なんて、本気で聞く人がいるだろうか?運転手は、『そんな事をしたら車が進まない』と思う。『自分に任せておけばいい。その他大勢は口を出さないのが、その他大勢自身のためだ』と思う。だから後部座席が運転に口を出さないように、スポーツだのニュースだのファッションだのを、車内のTVで流す。」
「なるほど」と大鹿。「運転手は、良心でやっているんだ。」
「そうそう。結構、良心でやっている。良心で『その他大勢』をコントロールしている。『自分の判断が一番だ。自分はエリートだから、自分はすごいから、運転は任せておけ』と思っているんだね。『自分が目的地に連れてってやるから、その他大勢は車内のTVでも見てなさい』ってわけだ。」
「今の世界は、そうやって出来てきた。」
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ごく一部です。
この小沢健二氏の『うさぎ』という話はかなり深い。
今の世の中がどこに向かっているのか?
自分自身は何に影響をうけているのか?
このままでいいのか?
何が大切なのか?
改めて問われているような気がします。
様々な影響によって曇っている自分自身の眼を確かめて、
失ってはいけない事、忘れてはならない事、大切にすべき事を再確認したいものです。
みなさん機会があったら是非読んでください。
なかなか手に入らないと思いますが・・・
自分も欲しいのですが・・・
Oct 18,2010
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